契約書と危険負担 | 顧問弁護士サービス

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弁護士コラム

企業法務で注意するポイント

企業法務で注意するポイント契約書と危険負担

契約書と危険負担

流通取引では、契約によって商品の引渡しなどが必要であっても、実際の引渡しが完了するまでに期間を設けることもあると思います。

特に、継続的な取引であれば、このような期間を設定することが多いようです。
ところが、継続的に取引関係を持っている場合には、詳細について契約書等で定めずに、慣行で取引を行っている場合も多いように見受けられます。
では、引渡しが完了するまでに、商品が不可抗力で完全に壊れてしまった場合等はどうしたらよいでしょうか。新しい商品を調達しなければいけないのでしょうか?
あるいは、商品の代金は請求できないのでしょうか?

?新しい商品の調達をしなければならない?
まず、取引の対象になっている商品が、同じ物がたくさんある商品だった場合は、どうでしょうか。
この場合には、基本的には、新しいものを調達して引渡す必要があると考えられています。平たく理由をいえば、商品を再度調達することが可能だからです。
そこで、いつまでもこのような義務を課され続けないように、商品を「特定」しなければなりません。
例えば、買主の同意を得て、「○月○日時点で、この倉庫にある、この区画の、何個の商品」等と決めるのです。そうすれば、例えば、倉庫そのものが火災に遭い、商品が完全に壊れてしまった時には、先ほど「○月○日時点で、この倉庫にある、この区画の、何個の商品」と決めた商品は用意することができないので、調達する義務は免れることになります。

?調達できないなら代金も請求できない?
では、そもそも代わりを用意できない商品や、「特定」した商品が壊れてしまった場合には、引渡しをすることが不可能ですから、対価である代金は請求できないのでしょうか。
実は、代わりを用意できない商品の購入(所有権の移転)が、不可抗力によって不可能になったという場合には、代金が請求できます。

少し複雑なのですが、法律上は、対価関係にあるような相対する債務は、いわばセットのようなものなので、片方の債務が不可能になって消えてしまったら反対の債務も消えると考えるのが原則です。
しかし、特定物(代わりを用意できない商品だと考えてください。)に関する物権(所有権も含まれます。)を移転するような契約では、引渡しの義務を負う人の責任ではない理由で商品が完全に壊れてしまったような場合には、代金の請求ができる結論になるように、法律は定めているのです。
他にも、上に述べた原則には、例外が定められています。

?契約書をしっかり作成する必要がある
これらの原則や例外を、ここで全て説明するのは困難ですし、取引の実態に応じて変わってきます。
そのため、詳細に契約内容を定めず、取引を継続してしまうと、不可抗力等の事情でトラブルが起きた時に、更なる調達の義務を負うのか、代金の請求ができるのか等、非常に不安定な状況となってしまします。
そのため、契約を開始する前に、まずは弁護士に相談し、どのようなトラブルが想定できるのか、その場合にどのような原則・例外となっているのか、十分に相談されるのが良いでしょう。そのうえで、事前に、トラブルが生じたときの処理方法を、契約として定めてしまうのが大切です。
どのような定め方が一番よいのか、ご相談ください。