電子消費者契約法(たったの4条) | 顧問弁護士サービス

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企業法務で注意するポイント

企業法務で注意するポイント電子消費者契約法(たったの4条)

電子消費者契約法(たったの4条)

EC(インターネット等を通じて行う商品やサービスの販売取引)について、電子消費者契約法(正確には、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」)というたった4条の法律があるのをご存知でしょうか。

全部を見てもわずか4条ですが、今回は隔地者間の契約成立時期等についての修正を定める4条は無視して、第3条にだけフォーカスして説明しますね(ちなみに1条、2条は趣旨と定義なので実質は第3条と第4条だけの法律です。)。

1. 第3条が何を定めているのか
電子消費者契約法第3条は、インターネットでの取引がワンクリックで行われ、ミスが生じやすいことから、錯誤についての民法の原則を修正して消費者が取引の無効を主張しやすいよう消費者を保護している法律です。

条文に照らして説明しますと(3条)
「一 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。 二 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき。」

には、消費者は錯誤を主張できるのです。

はい、法律と言うのは本当に面倒な表現を使いますね。
電子計算機という表現からは昭和の電卓しかイメージできませんが、当然パソコンのことです。
要するに、「あっ!買う気ないのにクリックしちゃった!」とか「あっ!おにぎりが欲しかったのにパンをクリックしてしまった」というような場合について消費者は「これ間違ったので無効にしてください」と言えるということを定めています。

当たり前と言えば当たり前のようなことですが、民法の原則からすると、消費者が間違ったことに重い過失があると(軽い過失なら大丈夫)、消費者は取引の無効を主張できないのです。
そして、ある場面での過失が最終的に裁判で重い過失と判断されるのか軽い過失と判断されるのかということは、消費者や事業者にとってわかりにくいことですので、そういうトラブルを回避するために法律で一律にインターネットを通じた取引などでは錯誤を主張できるという風に修正がなされているわけです。

2. 事業者としての対策
上記の規定を事業者から見た場合、「本当は消費者が購入の後で『やっぱり買うのやめた~』と心変わりしたのに、『買う時に間違ったので無効です~』と言い出したらどうすればいいんですか!」と思いますよね。
どうすればよいのかと言うと、3条ただし書が下記の場合であれば、事業者側は消費者の錯誤無効を主張できると定めています。
「ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。
以下同じ。)が、?当該申込み又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合 又は?その消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。」
[1]は要するに「商品Aの購入でよろしいでしょうか。『はい』『いいえ』」というような確認画面を設定すればよいということです。

また、[2]は要するに「今後商品の購入について確認のメッセージを表示しない。
『はい』『いいえ』」というような画面について消費者が「はい」をチェックすればその後は確認画面を省略しても構わないということです。
アマゾンやiTunesなど、消費者として電子取引をしていれば見慣れているこのような表示は、実は法律の要請(及びこれを具体化する経産省の準則)に沿うように設定されたものなのです。
このような仕組みをつくることで、「うちはちゃんと確認画面出したのだから、その上で間違ったって言われても取引の無効は認めませんよ」と原則として主張できるわけです。

3. まとめ
弁護士も紛争に関わる仕事なのでよくわかりますが、取引トラブルは、最終的に事業者側に理があったとしても紛争処理にコストがかかります。
また、仮に解決ができたとしても一度生じてしまったトラブルへの対応は決して気持ちの良いものではありません。
さらに、消費者が自由に書き込みをできる現在の世の中では、トラブルが匿名掲示板等に表出し、事業者のレピュテーションを著しく傷つける場合があります。
紛争を未然に回避することにより、事業者が良いサービスを提供し、消費者が安心してサービスを利用できるよう、EC事業をされる際には上記法律に従ったプラットフォームの設計をするべきであると考えます。